院長ブログ

歯の健康から院長のプライベートまで。

バレンタインデー

こんばんは、院長の松永です。

本日2月14日はバレンタインデーですね、皆様いかがお過ごしでしょうか?

バレンタインデーは大切な方に日頃の感謝を伝えたり、秘めた想いを伝えたり、家族と一緒にお菓子を作ってみたり、普段何気なく、共に時間を共有している相手とコミュニケーションを取れる素敵なイベントですね。

さて、歯医者としては一年で一番「チョコレートって、、、やっぱり虫歯になりますか?」とのご質問頂く日です。

結論から申し上げれば、基本的にはチョコレートでは虫歯にはなりません。

チョコレートの種類によって変わりますが、チョコレートを食べる行為そのものよりも、食べた後のお口のケアの仕方によって虫歯の原因となるかどうかが決まるのです。

 

ところで、チョコレートの歴史をご存知でしょうか?チョコレートは元々は南米原産のカカオの木の実(カカオ豆)のペーストです、1500年代にアステカ文明の地・古代メキシコの征服を試みたスペイン人・フェルナンド・コルテス将軍が、現地のアステカ人のカカオ豆文化をヨーロッパに持ち込んだ事が始まりでした。

ただし、当時の加工方法では苦すぎて、とても高価な割りに食品としては摂取しにくく、兵士を鼓舞する滋養強壮の薬としての扱いだったようです。

そこで1800年代、植民地からヨーロッパに渡り300年後、オランダ人のヴァン・ホーテンにより、カカオペーストからカカオバターのみを分離し乾燥カカオエキスを精製する手法が発明されました。

すり潰したカカオ豆のペーストではなく、粉末のカカオエキスにお湯を加えてまろやかにして飲む、「ココア」が誕生した瞬間でした。

 

古代アステカ文明に始まり、コンギスタドールが活躍したスペインから、ヨーロッパで流行し、オランダのヴァン・ホーテンの元にまでたどり着いたチョコレートですが、さらに興味深い旅にでます。

次のイノベーションは海を超えた、産業革命全盛期のイギリスです。

ここで、ジョセフ・フライによりカカオバターを使用した固形化の技術が生み出されます。

この技術により、飲み物であったチョコレートは私達がよく知る板チョコになりました。

しかし砂糖やバニラなどが加えられていたとは言え、当時のチョコレートは基本、苦い食べ物でした。

 

古代メキシコ→スペイン→オランダ→イギリスときて、今度はスイスで手が加えられます。

とうとう、私達が大好きなミルクチョコレートの誕生です。

1876年、スイスの菓子職人ダニエル・ペーターがチョコレートと乳脂肪分の混合に成功、これを、練乳と乳児用乳製品を開発していた後のネスレ社( Nestle`)を創業したアンリ・ネスレと共に、ミルクチョコレートとして製品化に成功しました。

それから、さらに約40年後、1918年(大正7年)日本の森永太一郎(現:森永製菓)がアメリカから帰国後、国産チョコレート第一号の製品化に成功します。

スペイン人の征服によるアステカ文明滅亡から、400年後、七つの海を渡り、地球の裏側で日本のチョコレート文化が始まったのでした。

 

バレンタイン・デーの主役のチョコレートをめぐる旅、いかがでしたでしょうか?で、、、結局、チョコレートで虫歯になりますか?と聞かれてしまいそうですが、カカオ100%のチョコレート=カカオマス、では虫歯にはなりません、糖分がゼロですから。ただし、ポリフェノールの含有量も高いので歯は着色しますし、油脂の塊ですからもちろん太ります。

ミルクチョコレートはと言えば、板チョコは平均50g程度です。現材料表記では砂糖が一番上位に記載されます。

実は栄養成分表示では28g前後が炭水化物=砂糖と表記されます。

ちなみに角砂糖は1個3〜4gなので、1枚の板チョコには角砂糖7個分の砂糖が含まれている計算です。

板チョコの半分は角砂糖をかじっているとイメージしていただければ結構です。

そんな、砂糖の塊を食べたら虫歯になるでしょ!?と言われてしまいそうですが、、、実は虫歯の発生は糖分の含有量だけが決めているわけではないのです。

問題は食事の後も、食物に含まれる糖分が歯の表面に付着することです。残った糖が口の中の細菌たちに餌を与え、その糖から細菌が作った酸で歯が溶けて穴が空くのです。ですから、チョコレートを食べることよりも、その一部が歯の周りに残る事がいけないのです。

、、、つまり、食後の質の高い歯磨きを面倒と思わず、頑張っていただければ心配ご無用、僅かに溶けた歯質があったとしても、フッ素や唾液の力で修復されます。

貴方を大切に思う誰かからのチョコレートを楽しめないなんて、余りに悲しすぎます。ぜひブラシを片手に、チョコレートのある人生を、大いに楽しんで頂ければと思います。

 

「人生はチョコレートの箱のようなものよ、開けてみるまで中に何が入っているかはわからないわ」

チョコレートの箱に人生の夢や可能性を例えた気取らない台詞はなんとも心に刺さります。

フォレスト・ガンプ/一期一会 1994年 アメリカ より

 

それでは、どうぞ皆様素敵なバレンタイン・デーをお過ごしくださいませ。

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